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第二章
僕は真野に聞いた。
何故兄の和也の細胞から僕を創り出して育てたのか。僕は実験動物の一つだったのだろうか?
真野から答えは得られなかった。彼女はただ無言で僕を見つめた。涙を流す僕に、真野の方から質問してきた。
「あなたにとって生きることは辛い?あなたをとり巻
いている環境から逃げ出したいと思うことがある?」
僕の答えはYESだった。 こんな悪夢のような世界に
生まれてきたくなかった。こんなに醜く、馬鹿馬鹿しい
世界から目を伏せたかった。死ぬ勇気のない僕は、
鬼ヶ島から脱出することしか考えられなかった。
人間を食用の肉にすること、人体実験や人身売買は必
要悪なのだろうか?
ある鬼が、「人間は鬼のためにそういう使命を持って生まれてきたのだから仕方がない」と、発言していた。
人間は鬼の犠牲になるために、苦しむために生まれて
くるのだろうか?
「人間と鬼を同じにするのはおかしい」と言う鬼もいる。
「鬼は人間以上の存在だから、鬼の存在が尊いのは当然だ」と言う。
人間の命が鬼によってどうにでも左右されるのは仕方がないのだろうか?
僕にはわからない。
僕は鬼ヶ島を去る。僕の同種族が住む本島へ行って、
農場で働くことになった。
列車は瀬戸大橋を走って海の上を渡った。四国の鬼ヶ
島から本島にある倉敷へ向かっていた。
僕、アシュラは十五年間住んだ鬼ヶ島を後にする。
再び戻るつもりはない。
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